「Sada City」

 

 

今年もこの季節に「さだまさし」のCDが発売になった。

 

もう三十年以上前、修学旅行のバスの中で、

友達が教えてくれた、さださんの「19才」という歌。

 

「もう19になるのだから  家を出ようかと思います」

 

こんな歌い出しの歌だった。

19才で家を出るなんて

考えた事もなかった私には

でもそういう選択肢もあるのだと

軽いショックを受けた。

そして、この歌が一番好きと言った友達は

いったい今どんな想いでいるのだろうと、。

 

「精霊流し」しか知らなかった私には、

とても新鮮な歌だった。

それからレコードを聴いて

たくさんの美しいメロディと歌詞に夢中になった。

 

 

高校を卒業して、勤め始めた頃

仕事が自分に合わなくて、とても辛かった。

そんな時に出会えた、さださんの「主人公」という歌。

 

「自分の人生の中では 誰もがみな主人公」

 

オフィスの中で、いつも身を潜めるようにしていた私に

この歌は何よりの支えとなった。

 

会社を辞めた時、

これからは自分が主人公で生きて行くんだと

心に決めた。

 

 

さだまさしの世に知られた曲は

「精霊流し」「案山子」「関白宣言」「雨やどり」、、

それだけを聴いて、わかったように言う人がたくさんいる。

でもアルバムの中に、もっともっとステキな曲がある。

でもさださんのファンには、この「主人公」が

この30年以上、不動の一番人気だという。

どれだけたくさんの人を励ましてきた歌なのだろうと思う。

 

 

「19才」という歌を教えてくれた友達とは、

それがきっかけで仲良くなり、長いつきあいが続いていた。

けれど、一昨年彼女は癌を発症。

1年半の闘病の末、昨年秋に亡くなった。

 

一昨年の春から入退院を繰り返していた彼女には

お見舞い代わりに、さださんのCDが発売される度

コピーして送ってあげていた。

買い物にも行けない彼女には、とても喜ばれていた。

 

一昨年の今頃は、私も甲状腺の病気をして

二人でベッドからメールで励まし合っていたなぁ。

 

今日も、いつも通り彼女の分もCDをコピー、、

しようとして、もう彼女はいないんだと、。

いきなり泣けた。

 

去年の今頃は、まだメールでやりとりをしていたのに。

去年の今頃は、まだ治ると信じていたのに。

 

あんなに元気だった彼女が死んでしまうなんて

まだ信じられない気がする。

大声で話し、大声で笑う元気な人だった。

 

生きているだけで奇跡。

元気でいられるのは幸せ。

当たり前の事が決して当たり前ではない事を

彼女が教えてくれた。

 

 

さださんのCDは、曲もさることながら

ライナーノーツを読むのがとても楽しみなのだ。

毎回深い言葉が綴られている。

今回の新しいアルバムにも、震災のことが書かれている。

ぜひ読んで、聞いて欲しいアルバムである。

おぐらひろかずさんのイラストも美しく楽しい。

 

コンサートでさださんが必ず言う言葉のひとつに

「強い夢は叶う」というのがある。

強く強く願い続ける、

そしてその為に頑張って行けば

きっと夢は叶うのだと。

その言葉にも何度も励まされて来た私。

 

久し振りに友達のお墓参りに行って来ようと思った。

CDのコピーを持って、。