母に良く似た能人形「熊野」

 

 

今日は母の誕生日です。

昨年の春に、桜を待たずに亡くなりましたが

生きていればちょうど80才でした。

 

70を少し過ぎた辺りから認知症になり、

家での介護が4年、施設に入って3年8ヶ月。

いろんな事がありました。

 

この人形は、母が元気だった頃の最後の旅行で

伯母と二人で奈良に行った時に

伯母から私へのお土産にといただいたものです。

一目見るなり「母に似ている」と思いました。

伯母もきっとそう思ったから選んだのでしょう。

 

お能の、「熊野」と書いて「ゆや」と読むものである事を

ゆうべ調べて、初めて知りました。

 

最初は母の部屋に置いてありましたが、

母が施設に入ってからは

リビングの棚の中に飾っておきました。

最初は見るのがつらくて、目をそらした日もありましたが

いつしかここにあるのが当たり前の生活になり、、

母が亡くなってからも、ずっとそのままここにあり、

一日何度もここを通る度、

これを見る度に 母を想います。

 

 

もし病気にならなかったら、、

今頃どんなおばあさんになっていたのでしょう。

本が好きで、歌が好きで、映画が好きな母でした。

でも病気はすごい勢いで、それらをひとつひとつ

記憶の彼方に強引に押しやって行きました。

最後には自分がいくつかも忘れ、

父のことも、私や妹達のことも忘れ、、

何を考え、何を楽しみに時を過ごしていたのでしょうか。

 

母がいなくなった生活のリズムに慣れるのに

長い時間がかかりました。

ようやく今、心穏やかに母の事を思い出せるようになりました。

 

これから母が好きだった苺のショートケーキを買いに行って

仏壇に供えようと思います。