「樹想」という名のタペストリー

 

 

リビングの壁に大きな織物があります。

大谷の渡邊恵美子先生の作品です。

 

 

遡ること30数年前。

折に触れ、県立美術館を訪ねるのが好きでした。

 

真っ白な大理石の石段のある外部空間は

外の世界と切り離され

いつも静かにそこにありました。

そこに座って過ごす時間が好きでした。

 

美術館の中の作品で一番好きだったのが

常設展示場階段横の、壁一面の真っ白な大きな樹。

一目見た途端、引き込まれてしまい、

以来何度その樹に逢いに通った事でしょう。

時々樹の形は少しづつ変わったけれど、

いつも優しく私を迎えてくれました。

 

それが「織物」というジャンルのものである事も知らず

ただ作者名「渡邊恵美子」という文字を胸に刻みつけて

ずっと心の中の宝物にしていました。

 

時が流れ、、ふとした事でその憧れの渡邊先生に出逢い、

そして思いがけない事から、、

この作品が我が家にやって来ました。

 

白、ブルー、紺、水色、グレー、そしてほんの少しのラメ。

どの季節にも馴染んで、いつも優しく迎えてくれます。

我が家の一番大きな宝物です。